1. この記事の対象読者と得られること
Javaで日付や時刻を扱う際、「LocalDateTime」というクラスの使い方に悩んだことはありませんか?本記事は、Java初心者から業務システム開発の現場で活躍するエンジニアまでを対象に、「LocalDateTime」の基礎から実践的な活用方法までを丁寧に解説します。
この記事で得られること
- LocalDateTimeの基本的な仕組みや特徴を理解できる
- 日付・時刻の生成、変換、フォーマット、加減算といった操作を具体例で学べる
- 旧来のDate/Calendarとの違いや用途ごとの使い分けが分かる
- 業務でよく使う「DB連携」や「よくあるエラー」への対応も解説
- 開発現場で陥りやすい落とし穴や注意点を知り、効率的にトラブルを回避できる
こんな人におすすめ
- Javaで日付・時刻を安全かつスマートに扱いたい
- LocalDateTimeの使い方を一通りマスターしたい
- システム開発・設計の現場で、日付管理のベストプラクティスを知りたい
- MySQLやPostgreSQLといったデータベースで日時データをやり取りしたい
- 旧API(Date/Calendar)からの移行に困っている
本記事を読むことで、「Javaの日付・時刻管理」で迷わなくなる知識とコツを身につけられます。
それでは、次のセクションでLocalDateTimeの基本と、よく比較されるクラスとの違いから解説していきます。
2. LocalDateTimeとは?基礎知識と他クラスとの違い
LocalDateTimeの基礎知識
「LocalDateTime」は、Java8以降で導入された新しい日付・時刻API(java.timeパッケージ)の一つです。このクラスは「日付」と「時刻」を同時に扱えるのが大きな特徴で、具体的には「年・月・日・時・分・秒・ナノ秒」までを保持します。
従来のjava.util.Date
やCalendar
とは異なり、タイムゾーン情報を持たないのがポイントです。つまり、「ある地域のローカルな日時」をシンプルに表現したい場面で活躍します。たとえば、「2025年7月10日 15:30:00」のような、タイムゾーンに左右されない予定や記録などに適しています。
また、LocalDateTimeは不変(immutable)かつスレッドセーフであり、値を変更するたびに新しいインスタンスを返すため、マルチスレッド環境でも安全に利用できます。
旧APIや他の日時クラスとの違い・使い分け
Javaには複数の日付・時刻クラスがありますが、それぞれ役割が異なります。ここで違いと用途を整理します。
クラス名 | タイムゾーン情報 | 管理できる内容 | 主な用途 |
---|---|---|---|
LocalDateTime | なし | 年・月・日・時・分等 | ローカルな日時の表現 |
LocalDate | なし | 年・月・日 | 日付のみを扱いたい場合 |
LocalTime | なし | 時・分・秒 | 時刻のみを扱いたい場合 |
ZonedDateTime | あり | 年月日・時刻・TZ | タイムゾーンを明確に扱う必要がある場合 |
OffsetDateTime | あり(+9:00等) | 年月日・時刻・オフセット | 世界標準時やAPI連携でずれが問題となる場合 |
Date / Calendar | あり/なし | 日付・時刻 | Java8以前の従来API(現在は非推奨) |
ポイント
- タイムゾーンを扱いたい場合は「ZonedDateTime」や「OffsetDateTime」を使う
- 日付や時刻だけ使いたい場合は「LocalDate」や「LocalTime」
- 「ローカルな日付+時刻」のみ管理したい場合は「LocalDateTime」が最適
LocalDateTimeの利用シーン
- システム内の予定表やタスクの締切管理
- ログや履歴のローカルタイム記録
- データベースのDATETIME型カラムとの連携
一方で、サーバ間やユーザーの地域が異なるケースでは「タイムゾーン」に注意が必要です。その場合は「ZonedDateTime」などの利用を検討しましょう。
3. LocalDateTimeの生成方法【サンプルコード付き】
JavaでLocalDateTime
を使い始める際、最初に知っておきたいのが「どのようにインスタンスを生成するか」です。ここでは、よく使われる生成方法と、その具体例を紹介します。
3-1. 現在日時の取得(now)
一番シンプルな使い方が、現在のローカル日時を取得する方法です。
タイムゾーン情報は含みませんが、システムのデフォルトタイムゾーンに基づいた「今この瞬間」の日付と時刻を返します。
import java.time.LocalDateTime;
LocalDateTime now = LocalDateTime.now();
System.out.println(now); // 例: 2025-07-10T15:30:45.123
3-2. 任意の日付・時刻を指定して生成(of)
特定の日付や時刻を指定してLocalDateTime
を作る場合は、of()
メソッドを使います。
年・月・日・時・分・秒・ナノ秒まで細かく指定できます(秒やナノ秒は省略可能)。
LocalDateTime dateTime = LocalDateTime.of(2025, 7, 10, 15, 30, 0);
System.out.println(dateTime); // 2025-07-10T15:30
3-3. 文字列から生成(parse)
ISO-8601形式(例: "2025-07-10T15:30:00"
)や、独自フォーマットの文字列からもLocalDateTime
は生成できます。
標準のISO形式の場合:
LocalDateTime parsed = LocalDateTime.parse("2025-07-10T15:30:00");
System.out.println(parsed); // 2025-07-10T15:30
独自フォーマットの場合(DateTimeFormatter使用):
import java.time.format.DateTimeFormatter;
String input = "2025/07/10 15:30:00";
DateTimeFormatter formatter = DateTimeFormatter.ofPattern("yyyy/MM/dd HH:mm:ss");
LocalDateTime parsedCustom = LocalDateTime.parse(input, formatter);
System.out.println(parsedCustom); // 2025-07-10T15:30
3-4. よくあるエラー:DateTimeParseExceptionの原因と対策
parse()
を使う際によく発生するエラーが「DateTimeParseException」です。
主な原因は、文字列の形式とフォーマッタが一致していないことです。
例:
LocalDateTime.parse("2025/07/10 15:30:00");
// → ISO-8601ではないのでエラー
対策:
- フォーマットが違う場合は
DateTimeFormatter
を必ず指定しましょう。 - 事前に入力文字列が期待通りかどうか、検証処理を入れておくと安全です。
まとめ
- 今の日時なら
LocalDateTime.now()
- 任意の日時なら
of()
- 文字列からは
parse()
+必要に応じてDateTimeFormatter
- エラー対策として、入力フォーマットの整合性を意識することが大切
4. LocalDateTimeのフォーマットと文字列変換
Javaで日時情報を扱う際、多くの現場で「表示形式」や「データの入出力形式」を意識する場面が出てきます。LocalDateTime
も、そのまま出力するとISO-8601形式(例: 2025-07-10T15:30:00
)になりますが、用途によっては別のフォーマットに変換したいことが多いでしょう。ここでは、表示フォーマットの変更方法と注意点を解説します。
4-1. デフォルト出力とISO-8601形式
LocalDateTime
をSystem.out.println()
などで直接出力すると、標準では「YYYY-MM-DDTHH:MM:SS」というISO-8601形式になります。
この「T」は日付と時刻の区切りを表し、ISO標準として定められています。
LocalDateTime now = LocalDateTime.now();
System.out.println(now); // 例: 2025-07-10T15:30:45.123
4-2. カスタムフォーマットへの変換(DateTimeFormatterの活用)
業務アプリケーションやDB連携では、日本式やシステム独自のフォーマットが必要になることも多いです。
この場合は、DateTimeFormatter
クラスを活用しましょう。
例:日本でよく使われるパターン
import java.time.format.DateTimeFormatter;
LocalDateTime dateTime = LocalDateTime.of(2025, 7, 10, 15, 30, 0);
DateTimeFormatter formatter = DateTimeFormatter.ofPattern("yyyy/MM/dd HH:mm:ss");
String formatted = dateTime.format(formatter);
System.out.println(formatted); // 2025/07/10 15:30:00
他にも、
"yyyy年MM月dd日 HH時mm分ss秒"
"yyyyMMdd_HHmmss"
など、自由にフォーマットを指定できます。
4-3. フォーマットで「T」が入る場合・入らない場合の違い
toString()
で出力した場合や、DateTimeFormatter.ISO_LOCAL_DATE_TIME
を使う場合は「T」が入ります。- 独自のパターンを指定すれば「T」は消せます。
例: Tなしにしたい場合
DateTimeFormatter noT = DateTimeFormatter.ofPattern("yyyy-MM-dd HH:mm:ss");
System.out.println(dateTime.format(noT)); // 2025-07-10 15:30:00
4-4. 文字列→LocalDateTimeへの逆変換
「3章」でも触れましたが、カスタムフォーマットでLocalDateTime
に変換したい場合は、
DateTimeFormatterを使ってparse()する必要があります。
String input = "2025/07/10 15:30:00";
DateTimeFormatter formatter = DateTimeFormatter.ofPattern("yyyy/MM/dd HH:mm:ss");
LocalDateTime parsed = LocalDateTime.parse(input, formatter);
System.out.println(parsed); // 2025-07-10T15:30
まとめ
- 標準出力はISO-8601(T区切り)
- 任意のフォーマットで出力したい場合は
DateTimeFormatter
を活用 - 文字列からの生成もフォーマッタで安全に対応
- 業務要件や外部連携に合わせて柔軟にカスタマイズ可能
5. 日付・時刻の加算・減算・比較【実務でよく使う】
日時情報を扱う現場では、「数日後の日時を求めたい」「2つの日時を比較したい」などの操作が日常的に発生します。LocalDateTime
はこうした処理も直感的に行うことができます。
5-1. 日付・時刻の加算(plus)、減算(minus)
LocalDateTime
には加算や減算のためのメソッドが豊富に用意されています。
代表的なものをいくつか紹介します。
加算の例:
LocalDateTime base = LocalDateTime.of(2025, 7, 10, 15, 30, 0);
LocalDateTime plusDays = base.plusDays(5); // 5日後
LocalDateTime plusHours = base.plusHours(3); // 3時間後
LocalDateTime plusMonths = base.plusMonths(1); // 1か月後
System.out.println(plusDays); // 2025-07-15T15:30
System.out.println(plusHours); // 2025-07-10T18:30
System.out.println(plusMonths); // 2025-08-10T15:30
減算の例:
LocalDateTime minusDays = base.minusDays(2); // 2日前
LocalDateTime minusMinutes = base.minusMinutes(45); // 45分前
System.out.println(minusDays); // 2025-07-08T15:30
System.out.println(minusMinutes); // 2025-07-10T14:45
5-2. 日時の比較(isBefore, isAfter, equals)
2つの日時が前か後か、あるいは同じかどうかを調べるには、次のメソッドを使います。
LocalDateTime a = LocalDateTime.of(2025, 7, 10, 10, 0, 0);
LocalDateTime b = LocalDateTime.of(2025, 7, 10, 15, 0, 0);
System.out.println(a.isBefore(b)); // true(aはbより前)
System.out.println(a.isAfter(b)); // false
System.out.println(a.equals(b)); // false
5-3. 差分の計算(DurationとPeriodの使い分け)
「2つの日時の差を知りたい」場合、Duration
とPeriod
を使い分けます。
- Duration…時刻(秒やナノ秒までの差分)を求めるとき
- Period…日付単位(年・月・日)の差を求めるとき
例:Duration(時間の差分)
import java.time.Duration;
LocalDateTime start = LocalDateTime.of(2025, 7, 10, 10, 0, 0);
LocalDateTime end = LocalDateTime.of(2025, 7, 10, 15, 0, 0);
Duration duration = Duration.between(start, end);
System.out.println(duration.toHours()); // 5(5時間差)
System.out.println(duration.toMinutes()); // 300(分単位)
例:Period(日付の差分)
import java.time.Period;
LocalDateTime dateTime1 = LocalDateTime.of(2025, 7, 10, 0, 0, 0);
LocalDateTime dateTime2 = LocalDateTime.of(2025, 8, 5, 0, 0, 0);
// LocalDateに変換して差分計算
Period period = Period.between(dateTime1.toLocalDate(), dateTime2.toLocalDate());
System.out.println(period.getMonths()); // 0(1か月未満)
System.out.println(period.getDays()); // 26(日単位の差)
まとめ
plus
やminus
で簡単に加算・減算できるisBefore
やisAfter
で日時の前後関係を比較できる- 差分計算は、時刻ならDuration/日付ならPeriodが便利
- こうした操作を組み合わせることで、業務ロジックもシンプルに記述可能
6. LocalDateTimeと他クラス・DB型との変換
業務システムや既存のプログラムと連携する際、「LocalDateTime」と他の日付・時刻クラス、さらにはデータベースの型との変換は頻繁に発生します。この章では、よく使われる変換パターンや、連携時の注意点をまとめます。
6-1. LocalDate・LocalTimeとの相互変換
LocalDateTimeは「日付+時刻」ですが、日付だけ・時刻だけを個別に扱うケースも多くあります。
LocalDateTime → LocalDate/LocalTime
LocalDateTime dateTime = LocalDateTime.of(2025, 7, 10, 15, 30, 0);
LocalDate date = dateTime.toLocalDate();
LocalTime time = dateTime.toLocalTime();
System.out.println(date); // 2025-07-10
System.out.println(time); // 15:30
LocalDate/LocalTime → LocalDateTime
LocalDate date = LocalDate.of(2025, 7, 10);
LocalTime time = LocalTime.of(15, 30);
LocalDateTime dateTime = LocalDateTime.of(date, time);
System.out.println(dateTime); // 2025-07-10T15:30
6-2. java.util.Date/Calendar/java.sql.Timestampとの変換
Java8より前のAPIやJDBC連携では、旧来のDate
やTimestamp
型と変換する場面も多いです。
LocalDateTime → java.sql.Timestamp
import java.sql.Timestamp;
import java.time.LocalDateTime;
LocalDateTime dateTime = LocalDateTime.now();
Timestamp timestamp = Timestamp.valueOf(dateTime);
System.out.println(timestamp); // 例: 2025-07-10 15:30:00.123
java.sql.Timestamp → LocalDateTime
Timestamp timestamp = Timestamp.valueOf("2025-07-10 15:30:00");
LocalDateTime dateTime = timestamp.toLocalDateTime();
System.out.println(dateTime); // 2025-07-10T15:30
java.util.Date や Calendar は、まず Instant 変換を挟む必要あり
Date date = new Date();
LocalDateTime dateTime = date.toInstant().atZone(ZoneId.systemDefault()).toLocalDateTime();
6-3. データベース(MySQL/PostgreSQL)のDATETIME型とのマッピング
MySQLやPostgreSQLで「DATETIME型」とやり取りする場合、LocalDateTimeは非常に相性が良いです。
JDBCドライバ経由で、setTimestamp
/getTimestamp
メソッドを使えば違和感なく利用できます。
- MySQL/PostgreSQLの「DATETIME」=Javaの「LocalDateTime」または「java.sql.Timestamp」
- 取得時は
getTimestamp()
で取り出し、toLocalDateTime()
で変換 - 保存時は
LocalDateTime
をTimestamp.valueOf()
で変換してsetTimestamp()
で保存
注意点:タイムゾーン管理に注意
- MySQL/PostgreSQLのDATETIME型自体はタイムゾーンを持ちません。
- アプリ側で「どのタイムゾーン基準で保存/取得しているか」一貫性を保つことが重要です。
- タイムゾーンを厳密に管理したい場合は「TIMESTAMP WITH TIME ZONE」や「ZonedDateTime」等を検討してください。

6-4. ZonedDateTime/OffsetDateTimeとの変換
タイムゾーンが必要な場合、LocalDateTime
とZonedDateTime
の相互変換もよく使います。
LocalDateTime localDateTime = LocalDateTime.now();
ZoneId zone = ZoneId.of("Asia/Tokyo");
ZonedDateTime zonedDateTime = localDateTime.atZone(zone);
System.out.println(zonedDateTime); // 2025-07-10T15:30+09:00[Asia/Tokyo]
LocalDateTime backToLocal = zonedDateTime.toLocalDateTime();
System.out.println(backToLocal); // 2025-07-10T15:30
まとめ
- LocalDateTimeはLocalDate/LocalTimeや旧API、DB型と簡単に変換可能
- JDBC利用時も
Timestamp
経由で違和感なく利用できる - タイムゾーン管理が必要な場合はZonedDateTimeやOffsetDateTimeを活用
- DB連携時はシステム内のタイムゾーン一貫性に注意
7. LocalDateTime活用の実践例&用途別早見表
ここでは、LocalDateTime
の実際の活用シーンと、用途に応じたクラスの選び方を整理します。システム開発の現場で「どのクラスを使えばいいか迷う」「具体的な使い道が知りたい」ときに役立ちます。
7-1. よくある実践ユースケース
(1) タスク・予定の管理システム
スケジュール管理や締切管理など、「日付と時刻」を扱う場面ではLocalDateTime
が最適です。
例えば、締切日時の保存やタスクの開始・終了時刻などに直感的に使えます。
LocalDateTime deadline = LocalDateTime.of(2025, 7, 31, 23, 59, 59);
(2) 勤怠管理や出退勤記録
打刻データの保存や勤務時間の記録にも、日付と時刻がセットで必要です。
DBのDATETIME
型との連携もシンプルです。
LocalDateTime clockIn = LocalDateTime.now();
(3) ログ記録や監査証跡
システムの動作ログやエラー履歴などでも、イベント発生日時をLocalDateTime
で記録するのが一般的です。
タイムゾーンを特に意識しなくてよい場合や、アプリケーション内部処理のログ管理に最適です。
7-2. 用途別クラス選び早見表
用途例 | 最適なクラス | 理由・ポイント |
---|---|---|
日付と時刻をローカルに記録 | LocalDateTime | タイムゾーン不要ならこれが基本 |
日付のみを扱う | LocalDate | カレンダーや誕生日などに |
時刻のみを扱う | LocalTime | アラーム時刻や営業時間の指定など |
タイムゾーンを明示的に管理 | ZonedDateTime | 海外拠点間での時刻管理など |
世界標準時(UTC)を使いたい | OffsetDateTime | APIや外部連携の時刻表現に |
7-3. 「タイムゾーンが必要な場合」と「不要な場合」の考え方
タイムゾーン不要の代表例
- アプリ内でのみ使う日時管理(予定表・締切など)
- シングルロケーション(例:日本国内のみのシステム)
タイムゾーンが必要な代表例
- 複数地域や海外拠点が絡むシステム
- サーバが複数のタイムゾーンで稼働している場合
- ユーザーの居住地ごとに表示日時を変える必要がある場合
判断ポイント
「日時が“絶対的な”瞬間である必要があるか?」「誰がどこで参照しても同じ時刻か?」
→ YesならZonedDateTime
やOffsetDateTime
を推奨
7-4. クラス選び簡易チャート
- 時刻にタイムゾーンの影響があるか?
- ある →
ZonedDateTime
またはOffsetDateTime
- ない → 2へ
- 日付のみ?時刻のみ?
- 日付のみ →
LocalDate
- 時刻のみ →
LocalTime
- 日付+時刻 →
LocalDateTime
まとめ
LocalDateTime
は「タイムゾーン不要な日付+時刻」の管理に最適- 用途によって
LocalDate
やZonedDateTime
と使い分けると設計がシンプル - 実際の要件・利用シーンを整理して、適切なクラスを選択することが、後々のトラブル回避や保守性向上につながります
8. よくあるエラー・トラブルと対策集
LocalDateTime
を使う際、実際の開発現場で遭遇しやすいエラーや混乱ポイントと、その対策をQ&A形式でまとめます。これらを知っておくことで、トラブル発生時にも素早く対処できます。
Q1. DateTimeParseException
が発生してしまう
原因
LocalDateTime.parse()
で渡した文字列のフォーマットが、想定と違う場合に発生します。- ISO-8601形式(例:
"2025-07-10T15:30:00"
)以外の文字列では、DateTimeFormatter
が必要です。
対策
- 必ずフォーマットが一致しているか確認し、必要なら
DateTimeFormatter
を使う。
String input = "2025/07/10 15:30:00";
DateTimeFormatter formatter = DateTimeFormatter.ofPattern("yyyy/MM/dd HH:mm:ss");
LocalDateTime.parse(input, formatter); // OK
Q2. NullPointerException
に注意
原因
- nullの値に対して
LocalDateTime
のメソッドを呼び出すと発生。
対策
- 変数がnullでないかを事前にチェックする。
- Optional型でラップするのも有効。
Q3. タイムゾーンを誤って扱う
原因
LocalDateTime
はタイムゾーン情報を持たないため、システムやDBのタイムゾーンが変わると「意図しない日時」になることがある。
対策
- サーバやDBのタイムゾーン設定を統一する。
- タイムゾーンが重要な用途は
ZonedDateTime
やOffsetDateTime
を使う。
Q4. DBとの連携時、日時がズレる
原因
- DB側の型やタイムゾーン設定がJava側と合っていない場合に、保存・取得した日時がズレることがある。
対策
- DBの
DATETIME
型とLocalDateTime
はタイムゾーン非対応なので、「どのタイムゾーン基準か」を明確にする。 - 必要に応じて
TIMESTAMP WITH TIME ZONE
やZonedDateTime
の利用も検討。
Q5. 精度(ミリ秒・ナノ秒)が落ちる
原因
- JDBCやDB側がミリ秒までしかサポートしていない場合、ナノ秒情報が切り捨てられる。
対策
- 仕様として許容できるか判断し、ナノ秒単位が必要な場合は別途扱いを検討。
Q6. 旧API(Date, Calendar)との変換時のエラー
原因
Date
やCalendar
からLocalDateTime
に直接変換しようとして失敗するケース。
対策
Instant
やZoneId
を経由して変換する。
Date date = new Date();
LocalDateTime dateTime = date.toInstant().atZone(ZoneId.systemDefault()).toLocalDateTime();
開発現場でのポイント
- フォーマット・タイムゾーン・nullチェックを意識するだけで、多くのトラブルを未然に防げる
- DBや他システムとのやりとり時は、型と設定の一致を常に確認する
- エラー発生時は、例外メッセージをしっかり読み、入力値・変換ロジック・設定を一つずつ確認する
9. よくある質問(FAQ)
ここでは、LocalDateTime
に関して現場でよく寄せられる質問とその回答をまとめます。実際に困ったとき、サッと答えを探せる“ナレッジベース”として活用できます。
Q1. LocalDateTimeはタイムゾーンを扱えますか?
A. いいえ、LocalDateTime
はタイムゾーン情報を持たないクラスです。
システムやDBのタイムゾーンに依存するため、日時の「絶対的な瞬間」を管理したい場合はZonedDateTime
やOffsetDateTime
を使ってください。
Q2. 旧API(Date/Calendar)からLocalDateTimeへの安全な移行方法は?
A. Date
やCalendar
は直接LocalDateTime
に変換できません。
一度Instant
やZoneId
を経由するのが正しい方法です。
Date date = new Date();
LocalDateTime dateTime = date.toInstant().atZone(ZoneId.systemDefault()).toLocalDateTime();
Q3. 文字列フォーマットで「T」が入る場合と入らない場合の違いは?
A. 「T」はISO-8601標準の区切り文字です。toString()
やDateTimeFormatter.ISO_LOCAL_DATE_TIME
を使うと「T」が入ります。
「T」なしの形式にしたい場合は、独自のフォーマットパターンをDateTimeFormatter
で指定してください。
Q4. DB保存時の注意点は?
A. DBのDATETIME
型はタイムゾーンを持ちません。
システム全体で「どのタイムゾーンで保存・取得しているか」を必ず統一しましょう。
厳密なタイムゾーン管理が必要なら、TIMESTAMP WITH TIME ZONE
型やZonedDateTime
の利用も検討してください。
Q5. LocalDateTimeの精度(ミリ秒・ナノ秒)はどこまで使えますか?
A. LocalDateTime
自体はナノ秒まで管理可能です。
ただし、DBやJDBCドライバによってはミリ秒までしかサポートしていないことが多く、ナノ秒情報は切り捨てられる場合があります。
Q6. LocalDateTimeで夏時間(サマータイム/DST)の影響は受けますか?
A. いいえ、LocalDateTime
単体では夏時間の調整は行われません。
夏時間や時差調整が必要な場合はZonedDateTime
を使いましょう。
Q7. 日付や時刻だけを扱いたい場合はどうすればいい?
A. 日付だけならLocalDate
、時刻だけならLocalTime
を使ってください。LocalDateTime
は両方をセットで持つ場合に最適です。
Q8. 例外が発生したときはどう対処すればいい?
A. 例外メッセージをよく読み、
- 文字列のフォーマットが合っているか
- nullや不正値が混ざっていないか
- 型変換の手順が正しいか
を一つずつ見直してください。FAQや8章のトラブル対策も参考にしましょう。
10. まとめ・参考リンク
これまで、「LocalDateTime」の基礎から実践的な活用、よくあるエラーやFAQまで網羅的に解説してきました。
最後に、本記事の要点と今後さらに理解を深めるための参考情報をまとめます。
10-1. まとめ:LocalDateTimeを正しく使うためのポイント
- LocalDateTimeは「日付+時刻」をタイムゾーンなしで安全・直感的に管理できるクラス
日付・時刻の加算や減算、フォーマット、比較など、よく使う操作を簡単に実装可能。 - システム設計時の用途に応じて適切なクラスを選ぶことが重要
- 日付だけなら
LocalDate
- 時刻だけなら
LocalTime
- タイムゾーンを扱いたいなら
ZonedDateTime
やOffsetDateTime
- DBや他システムとの連携時は、タイムゾーンやフォーマットの整合性に注意
特に「どの基準の日時なのか」を明確にし、設計上の混乱を防ぐことが大切。 - エラーや例外は事前にパターンを知っておくことで回避しやすい
例外発生時は、FAQや8章のトラブルシューティングを参考に冷静に対応しましょう。
10-2. 参考リンク・ドキュメント
より詳しく学びたい方や、公式リファレンスを参照したい場合は以下の情報も活用してください。
- Java SE 8 API ドキュメント(LocalDateTime)
- DateTimeFormatter(公式ドキュメント)
- Oracle公式 Java Date/Time API Guide(英語)
- Java日付と時刻API(外部解説:Qiita等)
10-3. これからLocalDateTimeを使う方へ
本記事を活用すれば、LocalDateTime
の使い方で迷うことはほとんどなくなるはずです。もし新しい課題や仕様が出てきた場合は、公式ドキュメントや信頼できる技術記事で最新情報も確認しましょう。
正しい知識と実践力で、Java開発の現場をより快適にしていってください。